
精神的疲労の疲労回復方法についてご紹介します。
身体的疲労と精神的疲労では、対処方法が全く異なります。
普通、疲労と言えば、
・体が痛い
・体が疲れた
などの身体的疲れをさす事が多いですよね。 しかし、ひと口に疲労と言っても種類があります。
運動などによって発生する身体的疲労の他に、ストレスなどによって発生する精神的疲労があります。 睡眠や入浴で回復できる身体的疲労と、ストレスが原因の精神的疲労ではその対処法はまったく異なります。
精神的疲労とは
精神的疲労は、ストレスによって引き起こされる疲労です。
ではなぜ、ストレスによって疲労が溜まってしまうのでしょうか。
人間の体には「ホメオスタシス」という機能が備わっています。
「ホメオスタシス」とは和訳すると「恒常性」という意味で、体を一定の状態に保とうとう機能のことを言います。
具体的に言うと、睡眠時間や体温、血糖値などを常に一定のバランスで保とうとする機能です。このホメオスタシスのおかげで我々の健康は保たれているのです。
ストレスを感じると、このホメオスタシスが脅かされます。ではストレスを感じるとどういう事が起こるのでしょうか。
ストレスを感じると、身体はホメオスタシスを維持しようとするために、交感神経系の活動を活性化させます。
交感神経とは、私たちが昼間活動をする時に働いている神経です。勉強、仕事、スポーツなど、我々があらゆる活動をしている時に交感神経が働いています。
周りの環境に素早く反応し、立ち回ることができる、そういった状態のことです。
交感神経と対にあたる「副交感神経」というものは、主に体を休める時に働きます。
寝ていたり、リラックスしている時に働いているのが副交感神経です。
私たち人間は、この交感神経と副交感神経を使い分けることで活動と休息を行っています。
しかし、ストレスによって、交感神経が過敏になってしまうと、体は常に緊張状態にさらされているような状態になります。
交換神経が過敏になると・・・
交換神経が過敏になってしまうと、身体は常に緊張状態にさらされてしまいます。
身体にどういった変化が起きるかというと、
・アドレナリンなどの物質が分泌
・脳が覚醒
・筋肉への血流増加
・気道が拡大
・消化活動を停止
等々の変化が起こります。
この状態は、ちょっと普通ではないですよね。
いつでも戦闘行動や逃避行動が起こせるように準備をするのです。
本来、副交感神経が働かなければならないような場面(寝ようとしている時など)に交感神経が働いてしまうと、十分に疲労回復することができなくなるのです。
このような身体の変化で発生する疲労を、精神的疲労と呼んでいます。
このような状態が長く続くと、
・不眠症
・消化不良による栄養不足
などから身体的疲労へつながっていきます。
ストレスが長引くとどうなるか
ストレスを感じると交感神経が過敏になり、結果疲労を起こしてしまいます。
ストレスを感じる期間が長くなると、更に厄介なことが起こります。
ストレスに対し、交感神経を過敏にして反応する体の活動は、長くは持ちません。 ストレスが慣性化すると交感神経が疲弊し、ストレスがない場面でも正常に作用しなくなってしまいます。
その結果、何に対してもやる気が起きない、うつ病を発症してしまったり、自律神経失調症になってしまったりします。
精神的疲労への対処法
精神的疲労が発生するのは、ストレスを感じているときです。精神的疲労にはストレスを絶つこと、あるいはストレスを減らすことが一番の対処法です。
それではストレスをなくす、もしくは減らすにはどのような方法があるのかを見ていきましょう。
環境を変える
ストレスを感じる原因は、全て「環境」にあります。
会社の人間関係、住環境など、あなたの置かれている環境がストレスを感じる原因になっています。
ストレスを感じなくする、元を絶つには「環境を変える」ことが一番重要です。
ただ、環境を変えるということは並大抵のことではありません。
人間には現状維持を良しとする遺伝子が仕組まれているため、そう簡単に環境を変えるような決断ができないメカニズムになっています。
日本に、100万人以上のうつ病患者と、3万人以上の自殺者がいることがその簡単な証明です。
環境を簡単に変えることができるのであれば、もっと早い段階で会社を辞めたり、住む場所を変えて引っ越ししたりする決断ができていたはずです。
ここまで追い込まれても会社を辞めることができないほど、人間は現状維持してしまう生き物なのです。
ですが、環境を変えることが、ストレスを根絶するために一番良い方法なのは事実です。
今、ストレスの多い環境にいる方は、環境を変えることはできないか本気で検討してみることをおすすめします。
仕事に関しては、大概は給料に固執して今の仕事を変えることができない場合が多いです。過度のストレスを抱えながら、ちょっとだけ周りの人よりも良い生活をすることにこだわりがなければ、転職してストレスを減らすことも人生の選択肢の一つになります。
認知・対処の仕方を変える
ストレスをどうしても感じてしまう環境にいる場合は、「考え方を変える」「味方を見つける」などの方法で、ストレスの与える影響を小さくすることができます。
思考法などを身につけることで、ストレスをストレスと感じなくする事が可能です。
(ただ、思考を変えるには、環境を変える必要がある場合が多々あります)
第三者の理解を得られれば、それだけストレスは緩和します。
ストレスへの反応を小さくする
ストレスをどうしても受けてしまう環境にあり、ストレスを受ける量もコントロールが効かない、という時は以下のような方法でストレスへの反応を小さくし、精神的疲労の疲労回復を試みましょう。
瞑想
ストレスを解消し、精神的疲労を回復してくれる方法に「瞑想」があります。
瞑想は最近注目を浴びて始めている休息方法で、先進的な企業が休み時間に瞑想を取り入れたりといった動きも出てきています。
瞑想のやり方は簡単ですので、是非マスターして精神的疲労を回復させましょう。
1.自分が一番楽だと感じる姿勢で目をつぶります
2.ゆっくりと呼吸します
3.呼吸の回数を数えます
これを10分間続けるだけです。
この瞑想は簡易的なものですが、これを続けるだけで頭の中が整理され、ストレスへの反応も緩和されることで精神的疲労を回復できます。
適度な運動
軽いジョギングやウォーキング等の有酸素運動を行いましょう。
有酸素運動を行うことで「セロトニン」や「エンドルフィン」といった物質の分泌が増えます。
セロトニンは血管の緊張を司る物質で、心身の安定や安らぎをもたらす物質です。抗うつ剤などにも含まれている物質です。
エンドルフィンは神経伝達物質の一つで、精神の鎮痛作用があり、多幸感をもたらす物質です。
有酸素運動によりセロトニンとエンドルフィンを発生させることでストレスによって過敏になった精神を緊張状態から回復させることができるのです。
朝日を浴びる
朝日を浴びることで、2つの疲労回復効果があります。
1つ目は、体内時計がリセットされることです。
人間の体には体内時計があり、その体内時計によって睡眠時間などを調整しています。
通常体内時計は24時間より少し長く、段々とずれていってしまうのですが、朝日を浴びることでリセットされ、夜、正常な眠気を感じるようになります。
2つ目は、セロトニンが分泌されることです。先ほども出てきた心身の安定や安らぎをもたらす物質であるセロトニンが、朝日を浴びることで分泌されます。
晴れている日より曇りや雨の日の方がなんとなく憂鬱なのは、きちんと原因があったのです。
まとめ
今回は一般的な「疲れ」で知られている身体的疲労ではなく、精神的疲労に焦点をあてました。
現代社会はストレス社会と言われ、どうしてもストレスと向き合っていくことになります。
ストレスをなるべく感じないようにする、そしてもし感じてしまうのであればそれを緩和する方法を身につけ、精神的疲労をうまく回復できるようになりましょう。